2023/07/01
自然療法や健康食品などでよく使われる言葉に、「好転反応」があります。病気などが改善する途中、一時的にあらわれる症状のこと指すものですが、正式な医学用語にはなく、あいまいな部分も少なくありません。また、「好転反応」という言葉を都合よく使った悪徳ビジネスも存在するので注意が必要です。
今回は、「好転反応」の意味や整体との関係、注意点などを解説します。大事な体を守るためにも、正しく理解しておきましょう。
好転反応とは?
好転反応とは、病気が治る途中で起こる不快な症状のことです。一時的な副作用のような状態ですが、「好転反応」という言葉は、西洋医学の用語には存在しません。ただし、漢方の世界では好転反応のような症状を「瞑眩(めんげん)」と呼んでおり、漢方薬の飲み初めに発熱や下痢、嘔吐などの症状が数日間続くことがあるといわれています。
しばらく飲み続けると不快な症状が消えて、病気が改善に向かいます。漢方の世界では、「好転反応」という表現に対しては否定的な意見も少なくありません。
整体における好転反応とは?
「好転反応」は、整体などの自然療法でよく使われています。整体院に通っているのに、「体がだるい」「頭が重い」などの不快な症状が続くことがあり、その多くは「好転反応」と考えられているのです。
好転反応4つの段階
好転反応には4つの段階があるといわれています。それぞれ症状が異なり、以下の4つの段階を経て、次第に回復するそうです。
①弛緩反応
施術などの最初の段階で起こるのが、「弛緩(しかん)反応」です。筋肉がほぐれることにより、体中の毒素や老廃物などが血管を通って循環します。体の機能や自律神経などのバランスの乱れを取り戻そうとする時期であり、倦怠感・疲労感・眠気などが多く見られます。
②過敏反応
施術によって治療箇所に血液が流れ込み、壊れた組織を回復させようとしている段階に起こるのが「過敏(かびん)反応」です。悪い箇所が複数ある場合、特に悪い場所に症状があらわれ、症状が消えると別の悪い場所に症状が出るという特徴があります。具体的には、痛み・かゆみ・炎症・便秘・下痢などの症状があらわれます。
③排泄反応
体中の毒素や老廃物が体外に出されるときに起きる好転反応が「排泄(はいせつ)反応」です。これは、体内の細胞が施術などで活性化され、解毒作用が高まることて起こると考えられます。老廃物や毒素が分解されると同時に排泄機能が活発になり、下痢・発疹・肌荒れなどの症状があらわれます。
④回復反応
血行が改善され、溜まっていた悪い血液が体中に行きわたるときに起こるのが「回復(かいふく)反応」です。発熱・体の痛み・吐き気・動悸などの症状があらわれますが、この血液の流れがよくなることで新陳代謝が進み、体調が回復していきます。
整体などの自然療法では、上記のような4つの段階を経て体調が回復するといわれています。ただし好転反応には個人差があり、好転反応が出ない人もいる一方、重い好転反応で苦労する人も少なくありません。
好転反応は、あくまでも自然療法における表現で、科学的な根拠はありません。その症状が好転反応であるかの見極めは、専門家でも難しいのが現実です。そのため勝手に好転反応だと思い込み、我慢するようなことはしないでください。
好転反応は自己判断しない
「好転反応」という言葉は、体の不具合が改善される言葉として多くの人に知られています。しかし好転反応には医学的な根拠がないため、不快な症状があらわれたからといって、安易に好転反応と決めつけるのは危険です。治療の途中で違和感を覚えたときは、決して自己判断をせず、担当者に相談しましょう。
整体などの自然療法で、不快な症状の改善を図ることができます。しかし、治療の途中で症状が悪化したり、治療期間が長引いたりする場合は、近所の病院に行って医師の診察を受けてみましょう。
まとめ
「好転反応」は、病が改善される途中で起こる不快な症状といわれていますが、医学用語ではありません。また、漢方の世界では好転反応と同じ意味を持つ「瞑眩(めんげん)」と呼ばれる言葉があり、この言葉が変化して好転反応という言い方になったともいわれています。
整体などの自然療法では、「弛緩反応」「過敏反応」「排泄反応」「回復反応」の4つの段階を経て不快な症状が回復するといわれていますが、回復したかどうかの判断は決して簡単なことではありません。不安に感じたときは、信頼できる医師に相談することをおすすめします。